アメリカ駐在中に現地の証券口座で株式投資するにあたって、つぎの疑問が出るのではと思います。
アメリカ駐在員が投資で売却益・配当金を得たときの税金はどうなる?
いろいろ調べてみましたが、
基本的に会社がその税金も払ってくれるが、翌年の確定申告で作業が2つ増える。という場合が多そうです。(お勤めの会社にもご確認ください)
僕は2020年からアメリカで株式投資を開始し、今では約95000ドル(約1350万円)以上を株と債券で運用しています。
これまで5回投資の確定申告もしたので、実践者の話としても参考になるはずです。
この記事を読むと、アメリカ駐在中に投資を始めるときの『なんか税金がめんどくさそう…』といった不安を解消できると思います。
目次
アメリカ駐在員の税金の払い方
株の利益にかかる税金を話す前に、アメリカ駐在員はどう税金を払っているのかを少しだけ。
アメリカで働くならもちろん会社からドル給料を受け取ります。
日本のように毎月の給料から会社が税金分を源泉徴収して、ドル給料を手取りとして支給してくれますので、ドル給料にかかる税金の徴収と納税を会社がしてくれています。
しかし、日本の年末調整制度はアメリカにはなく、給料以外の所得も漏れなく申告し納税するために個人でも確定申告が必要になります。(日本含めた全世界の所得が対象)
- 株・債券のキャピタルゲインや配当・利子
- 不動産の家賃収入
- ギャンブル収入など
そして、控除なども考慮され年間の課税所得から税金が計算されて、本来は差分を個人が清算します。
申告額にかかる税金に対して、
- 納めた金額が足りない : 足りない分を払う
- 納めた金額が多い : 還付金を受け取る
しかし、駐在員は確定申告の作業はしますが、この差分の清算は自分でせずにお勤めの会社がやってくれることが多そうです。
納めた金額が足りなければ会社が払ってくれ、納めすぎて還付金があるときは会社が受けとる。
このように投資や日本の不動産収入など個人の事情へも会社が税金をなんとかしてくれるので、駐在員はよく知らなくてもなんとかなります。
このような仕組みの会社が多そうでしたが、お勤めの会社がどうかは確認してみましょう。(個人の都合による税金は後で返さなきゃいけない会社もあるかもしれません)
アメリカでも投資で得たキャピタルゲイン・インカムゲインは所得としてもちろん課税対象。
つまり、駐在員が投資で利益を出した場合は納めるべき税金も増えます。
アメリカ証券口座では源泉徴収の仕組みがないため利益は自分でそのまま受け取れますが、裏では会社が負担してくれる税金が増えます。(爆益を出している場合は会社から「やりすぎだ!税金払え!」と言われるかもしれません)
このブログではトレードで短期的な爆益を出そうとせず、インデックスか高配当株をひたすら買い持ちする長期投資を前提としています。
このため、売却益はなく配当・利子所得のみで額も少ないので、そこまで会社に迷惑はかけません。トレードの損益計算書も作らなくていいので楽です。
駐在員は会社が契約している会計事務所を通じて確定申告すると思います。その前提だと、投資を始めたことによって追加になる確定申告の作業は次の2つだけです。
- Form 1099-DIV/INTを証券会社から入手し会計事務所へ提出
- Form 1099-DIV/INTの数字を確定申告システムに記入
Form 1099とは?
Form 1099は雇用主以外が個人にお金を支払ったときに、『誰が誰にいくら払ったか?』などを証明するために発行する明細書です。
この明細書は発行元からアメリカの国税局(IRS)にも送付されてしまうので、こちらからも同じ情報を申告しないといけません。
所得によって1099の種類もいくつかあります。
- 1099-DIV : 配当金
- 1099-INT : 利子
- 1099-MISC : 雑所得
Form 1099-DIV/INTを証券会社から入手し会計事務所へ提出
僕は証券口座『Charles SCHWAB』を使ってますが、DIVとINTが一緒になった『Form 1099 COMPOSITE』が毎年2月上旬〜中旬に発行されますのでそのまま提出しています。
証券口座にログインしてForm 1099-DIV/INTをダウンロード後、会計事務所に提出しましょう。
会計事務所のForm 1099の提出期限に間に合わないなら、会計事務所へ一報いれましょう。
Form 1099-DIV/INTの数字を確定申告システムに記入
おそらくあなたも会社が提携している会計事務所が提供する確定申告用システムにもれなく情報を入力して申告書を作っていると思います。
そのシステムに米国内の配当・利子所得を申告するところがあるはずです。
Form 1099-DIVには、
- 1a : Total Ordinary Dividens(普通配当総額)
- 1b : Qualified Dividends(適格配当金額)
- 2a : Total Capital Gain Distributions(キャピタルゲイン分配金)
などと欄があって金額も書いてありますので、数字をシステムに正確に記入していくだけです。
これらがなんなのか分かってなくても作業としてやってしまいましょう。僕もよくわかってません(笑)。
日本帰国後は自分で確定申告が必要
日本へ帰国後、アメリカの証券口座を維持するときについても簡単に書いておきます。
日本に住んでいても3か月に1回配当金が発生しますが、それには米国源泉徴収税としてアメリカ側で勝手に10%が源泉徴収されるようになります。(引っ越し手続き後)
アメリカの証券口座は日本のような配当から税金を源泉徴収する仕組みがありませんので、配当金に対する税金は自分で申告して20.315%の税金を納める義務があります。
少なければ確定申告は不要ですが、もし年間の所得が20万円を超えてしまうなら日本で確定申告も必要となります。
その場合、このままだとアメリカで10%引かれたのに日本でも20.315%と二重課税となってしまいますが、確定申告で外国税額控除の手続きをするとアメリカの10%とられた分はほぼ取り返すことができますので、最終的には日本で負担する税金の20.315%のみに調整されることになります。
この確定申告がどうしても面倒なら、帰国のときにアメリカの証券口座を閉じる検討をしましょう。(時期と相場によって元本割れリスク有)
日本へ帰国後に維持する場合には以下記事を参考にしてください。
>>【アメリカ証券口座を帰国後も維持】帰国時の手続き(SCHWAB)と取り崩し方法
アメリカ駐在中の投資への税金と確定申告で増えた手間まとめ
アメリカ駐在中に株式投資をするなら、配当金・利子にも税金がかかるので確定申告で次の2つの作業が追加になります。
- Form 1099-DIV/INTを証券会社から入手し会計事務所へ提出
- Form 1099-DIV/INTの数字を確定申告システムに記入
やってみると意外と簡単ですので、投資を始める前の『なんか税金がめんどくさそう…』といった不安はアメリカ駐在中は心配無用でした。
日本帰国後もアメリカの証券口座を維持するなら自分で日本での確定申告が必要になる場合があります。
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>>【紹介コードあり】海外送金・Wise(旧トランスファーワイズ)の評判/口コミは?
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日本に帰国後にもアメリカ証券口座を維持するなら、以下の記事で手続きなどを解説していますので参考にしてみてください。