アメリカ駐在中に使っていた証券口座を日本帰国後も維持する場合、どんな手続きをすればいい?最終的な取り崩し方は?
アメリカ駐在中に現地の証券口座で投資をしていた場合は、帰国時に口座を閉じるか維持するかを選ばなくてはいけません。
本記事では、日本帰国後もアメリカの証券口座を維持するのに必要な手続きをまとめました。
ちなみに、日本帰国後にも維持できるアメリカ証券口座は以下の2つ。
- Charles SCHWAB
- Firstrade
最近、日本帰国に必要な手続きを行ったのでこの記事は帰国者にとって参考になると思います。
ちなみに、僕はCharles SCHWABの証券口座に約75000ドル分の株を維持したまま日本へ帰国しました。日本帰国後に住所変更などの手続きを経てしばらく放置していましたが、2024年9月時点では約95000ドル以上に増えていました。
日本帰国後もずっと運用継続して投資成績を報告しているブログはあまり見たことありませんので、ぜひ僕のリアルな情報を参考にしてもらえればうれしい限りです。
>>僕のアメリカ駐在中の株式投資方針~4年間運用を続けたらこうなった!~
また、アメリカ証券口座からの最終的な引き出し方についても記載しています。
資産運用していても最終的に使わないと意味がないですからね。
アメリカ証券口座の日本帰国時の手続き
アメリカ証券口座を日本で維持した場合にたまにやること
アメリカで運用していた株の使い方
目次
アメリカ証券口座(Charles SCHWAB)の日本帰国の手続き
証券口座の帰国手続きを実際にやった人は簡単には見つからないと思います。
僕もどうすればいいかわからなかったので、まずはやるべきことをチャットで聞いてみました。
しかし、チャットでは「この書類に埋めて提出して」と言われたのですが、もらったフォーマットが違いそうだったのと提出物についてのコメントもなかったので、自分でもいろいろと調べたのを覚えています。
正しい手続きとしては、以下の5つの書類をSCHWABのメッセージセンターからアップロードすれば終了です。
- Internationalアカウントへ変更したいというレター
- Update Your Schwab One International Account
- W-8BEN
- パスポートの顔写真ページのコピー
- 日本の住所を証明できるもの(電気、水道の明細書など。日本語でOK)
メッセージセンターはSchwabアカウントにログインして、右上のメールマークをクリックすると出てきます。
レターはこんな感じで簡単な文章、サイン、プリントネーム、日付を手書きで記入しました。これをスキャンしてPDF化して使いました。
「Update Your Schwab One International Account」は住所や電話番号などの口座情報を更新するために必要です。
「W-8BEN」とは米国非居住者であることを申請する書類で、これを提出すると米国非居住者としての課税ルールに変更されます。
この住所変更の手続きをしないと、アメリカの証券口座は米国居住者としていつもの書類(Form1099)を発行してしまいます。(詳細は以下アメリカでの確定申告の記事に)
>>アメリカ駐在中の株式投資にかかる税金と確定申告で増える手間2つ
アメリカ居住者は確定申告がマストなので、証券口座に対して居住者のままにしておくと、アメリカの国税局(IRS)の持つ個人情報も更新されず日本にいるのにアメリカ側で税務に関する通知が発送されてしまいます。
ちゃんと住所変更の手続きをしておきましょう。
手続きに必要な書類は以下のSCHWABのリンクに置いてあります。
正しい書類であればアップロードして数日でアカウント情報の更新が完了するはずです。各状況ごとにお知らせメールがSCHWABから届きます。
僕のときは時系列としてはこんな感じでした。
- 必要書類をメッセージセンターにアップロード
- 4時間後、「リクエストを受け取った。今はレビュー中。」とメール受け取る
- 1日後、手続き完了のお知らせメール受け取る
- 2日後、「W-8BENのフォーマットが無効なので再提出が必要」と連絡を受ける!?
一度完了したのにやり直しが発生した理由は、記入したW-8BENが古いものだったかららしい。
提出した翌日の連絡では「There’s nothing more you need to do.」って書いてあったのに、その次の日に「Action needed」と来たのでビックリ。
あらためて記入した新フォーマットのW-8BENをメッセージセンターからアップロードし、しばらく更新を待っていました。
しかし、一週間たってもSCHWABからアップデートがありません。
心配になったのでチャットで問い合わせたところ、やはり更新が進んでなかった模様。それでも、その場で即対応してくれ、手続きはやっと完了しました。
アカウントにログインし、住所や電話番号を確認するとちゃんと日本の住所になっていました。
これ以降は配当金から10%が源泉徴収されるようになります。(NRA Tax Adが引き去り分)
アメリカ居住だったときはこの10%の源泉徴収がありませんでしたので、ちゃんと居住国の設定が完了している証拠になりますので安心。
アメリカ証券口座を維持したときに日本でやること
アメリカ証券口座を維持すると発生する作業は2つあります。条件に該当するなら対応しましょう。
日本では給与以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
日本の証券口座は税を源泉徴収してくれますが、アメリカの証券口座は日本のような税金を源泉徴収する仕組みがありません。
このため、自分で年間の利益がいくらになるのか把握しておかなければいけません。
- 配当金
- 売却益
これらを受け取った日の為替レートで利益を円換算して、年間の給与以外の所得の合計が20万円を超えたら確定申告します。
配当金に対してはアメリカで10%源泉徴収されますので、その税金を引かれた後の円換算した合計額に対して日本では所得税15.315%、住民税5%が課税されます。(分離課税の場合)
しかし、アメリカで10%税金を払っているので二重課税になってしまいます。
その二重課税を防ぐ措置として、外国税額控除することでアメリカで源泉徴収された税金10%の一部が返ってきます。
理想的には1、2年に一回くらいリバランスした方がいいと言われています。
株は値動きがありますので長期で保有していると自分の決めた比率から変わってきます。その比率を戻す作業をリバランスと言います。
やっていることは自分のポートフォリオの中で高いものを売って安いものを買ってるだけなので、なにもしないよりかは将来わずかにリターンは高まりそうです。
アメリカ証券口座で運用していた株の最終的な使い方
アメリカ証券口座からの最終的な引き出し方についても書いておきます。資産運用していても最後には使わないと意味がないですからね。
セオリー上、使わずに株の状態で配当再投資しておいた方がリターンはもちろん高まります。
しかし、日本で生活していてお金が足りなくなることもあるでしょう。
- マイホーム購入
- 子供の学費
- 生活費のショートなど
使い方は必要になったときに使う分だけ株を売却して日本へ送金するだけです。残りを運用しておくと資産が長生きしてくれますので。
手順は次の通り。
- 1, アメリカ証券口座内で株を使う分だけ売却
- 2, 売却して現金になったドルをアメリカ銀行口座へ送金
- 3, 外貨送金サービスで円転して日本へ送金
- 4, 日本で円として使う
アメリカ旅行や出張、子供が将来アメリカの大学に通うなどドルのまま使う場合は、株を売却し、銀行口座に移して使うだけです。
このため、アメリカの銀行口座の維持も必要になります。
また、ある程度の運用資産があって配当利回りが高い場合には、配当再投資をやめて配当金だけを使っていくという方法もあります。これなら資産の取り崩しは必要ありません。
年金として老後まで運用継続できれば期間が長い分リターンは最大化できそうです。
しかし、歳をとってくると認知症や病気などで亡くなるリスクもあるので、アメリカの証券口座を閉じるのは健康なうちにやるのが無難でしょう。
例えば、55歳から年金がもらえる65歳までを10年間に分けて資産の1/10ずつ毎年取り崩すとか。
つまり、55歳の時点で運用額20万ドルあったとして10年で取り崩したいとすると、次のように毎年換金していきます。
- 55歳 : 20万ドル ÷ 10 => 2万ドルを換金 (残り18万ドルは運用継続)
- 56歳 : 18万ドルくらい ÷ 9 => 2万ドルくらいを換金 (残り16万ドルは運用継続)
- 57歳 : 16万ドルくらい ÷ 8 => 2万ドルくらいを換金 (残り14万ドルは運用継続)
- ・・・
- 65歳 : 2万ドルくらい ÷ 1 => 2万ドルくらいを換金
運用額は上下しますので毎年ピッタリ2万ドルを換金できるわけではありません。2万ドル以上換金できる年もありますし、少ない年もあるでしょう。
この例では、取り崩した残りがまだ株として運用されるので、実際は想定より資産が多く残る可能性が高くなります。
いくら使えるかはそのときにならなければわかりませんが、あくまで生活費の補助的な位置付けで使っていけば、定年後の再就職で収入が減ったとしてもゆとりのある生活ができるのではないでしょうか。
アメリカ証券口座のドル資金を円に変換してすぐ日本で使えるようにしておく必要があります。
しかし、銀行の海外送金サービスを使うと手数料を多く取られます。
一回で送金手数料45ドルは最低かかるのに、為替レートにもわかりにくく手数料を忍ばせてきます。
いくつか外貨送金サービスを調べましたが、Wiseが手数料が安くてわかりやすいし着金も早いのでおすすめです。
せっかく運用した資産を銀行に高い手数料とられてしまってはもったいないので、最終的には手数料の低い方法で送金して日本で好きなことに使えるといいですよね。
こちらのWiseの紹介リンクから申し込むと初回の送金手数料が約600ドルまでなら無料になります。
ぜひご活用ください。
>>【紹介コードあり】海外送金・Wise(旧トランスファーワイズ)の評判/口コミは?
アメリカの証券口座を帰国後も維持する手続きまとめ
アメリカの証券口座を日本帰国後にも維持するなら、忘れずに住所変更の手続きをしましょう。
ちょっとした書類ワークをやってあとは放置しておくだけで勝手にお金が増えていきます。(僕も20000ドル以上は増えてました)
最終的にはその資産をどう取り崩していくのか戦略も練っておいてください。
また、アメリカの資産をいつでも円に転換して送金できるように準備もしておきましょう。
外貨送金サービスとしては手数料が安いWiseがおすすめです。
以下の紹介リンクから申し込むと初回の送金手数料が約600ドル(約90000円)までなら無料ですのでご活用ください。
海外送金の手数料を安く抑えたいならWise!初回の送金手数料が約600ドルまでなら無料!
ふみお様、
はじめまして、ブログ拝見させていただいております。貴重な情報いつもありがとうございます。日本で新NISAが盛り上がる中、米国赴任中にてこちらのブログに倣って、ETFに挑戦してみようと思っています。
一点、補足頂きたいのが日本の確定申告の方法や利益計算の方法についてです。こちらもう少し詳しくやり方等教えて頂くこと可能でしょうか。
コメントどうもありがとうございます。
今年の確定申告でアメリカ証券口座の所得も申告するので、後日記事に加筆しようと思います。
ざっくりいうと、アメリカで源泉徴収される前の配当収入に対して、20.315%(所得税+地方税)の金額を最終的に日本で納税するのが目的になります。
僕が今ちょうど準備しているのが、配当を受け取った日の為替レートで円換算して、以下3つそれぞれの年間の合計を計算しました。
– 税引き前の支払われた配当金額
– アメリカで10%源泉徴収された税金 (外国税額控除でいくらか取り返せる)
– 実際に受け取れた配当金額 (これに所得税15.315%、地方税5%が課税される)
これにより納税額が自分でも計算できますし、e-taxに必要な数字を入力できるはずなので。
ちなみに会社給与以外の所得がない場合は、この配当金と売却益の合計が年間20万円超えなければ所得税の確定申告は不要です。
初めまして。
日本帰国後の住所変更手続きについて質問させて下さい。
手続きをする際はサイトにログイン後に申し込むかと思いますが、ログイン時にSMS認証を求められたりはしませんでしたでしょうか?
日本帰国後だとアメリカの携帯番号へのSMSは受信できないかと思い、どうしたものかと思っているのですが。。
はい、初めてマイページにアクセスするデバイスは認証が必要です。
ですが、今はSchwabのスマホアプリ(日本でもダウンロード可能)で認証する方法もありますので心配いらないと思います。
PCからログインしようとしたときに、このスマホアプリ上で認証作業をポチポチすればすんなりPCでも入れます。
あとは、日本の携帯番号も登録できてちゃんとSMSもSchwabから届くので、帰国前にあれば日本の番号を登録しておくのも手だと思います。
こんにちは。
私は2008年に本帰国してからアメリカ株口座(Fidelity)を維持しております。ずっと放置していたのですが年齢が50代になったのと昨今の株高でそろそろ引き上げ時期を考えようかと思っているところです。
Scwabの方がIT対応がFidelityより格段にいいです。本当は口座をSchwabに移したいのですが日本在住なので新規では開設できません。FidelityだとMSKさんの懸念通りSMSでの認証ができないため毎度Telしなければなりません。MMFも非居住者なので資金投入不可でせっかく金利高くなったのに享受できずにいます。こういうこともあってそろそろ日本に資金を戻そうかと思案しているところです。それにしても5年弱で100Kはすごいですね!FIREも夢じゃないですよ。
チコぴこ様
2008年以降ということはリーマンショックとコロナショックを経てたどり着いた今の株高な状態ですから、資産運用としてはもう十分リターンを得たのでは?と推測します。
15年の長期投資ですね、私も見習いたいです。
Schwabは米国非居住者でもInternational Accountで口座開設できたはずですが、口座管理の手間も煩わしいかもしれませんのでもう米国で投資しなくてもいいかもしれませんね。
投資する場合は日本のSBI証券や楽天証券などに移して、NISA使った方が節税もできるのでいいかもしれません。
投資を継続するのか今を楽しむために使うのか、ぜひ検討してみてください。
ご回答ありがとうございます。
なるほど、アプリでログイン出来るようにしておけば、帰国後PCでログイン時にアプリ認証が使えるということですね!
ありがとうございます。
ちなみに、
> あとは、日本の携帯番号も登録できてちゃんとSMSもSchwabから届くので、帰国前にあれば日本の番号を登録しておくのも手だと思います。
こちらは日本への住所変更(Internationalアカウントへ変更)前に日本の番号に変更しておくということでしょうか?
(当方楽天モバイルユーザーの為、楽天LINKにてアメリカ居住中にSMS受信は可能です)
MSK様
すみません。私のアカウントを確認してみたのですが、日本在住だとWebから電話番号は変更できませんでした。
なので、もしかしたら私は日本への住所変更手続きのときに日本の番号に切り替えたのかもしれません。(うろ覚えでコメントしてしまいすみませんでした)
MSK様はまだアメリカ在住だと思いますので、ログインしてContact Informationから電話番号を変更できないか試してみてはいかがでしょうか。
Webからできない場合は、帰国前に日本の番号登録だけしておきたいことをチャットで相談してみるのもいいと思います。
いずれにせよ日本のスマホにアプリ入れておけば問題なく切り替えできたので、過度な心配はご無用だと思います。
返信が遅くなりまして申し訳ありません。
また、わざわざアカウント確認していただきありがとうございます。
上記試してみたいと思います。